2026年11月6日|読了目安:約2分
200メートルの光ファイバーに、情報を載せた光を通す。東京大学とNTTの研究チームは、そんな装置でAIの計算を試しました。
この研究では、学び方と計算の仕組みを簡単にしても、コンピューター上の試験で複雑な方式に並び、一部では上回る性能を示しました。成果は英国時間11月5日、科学誌Nature Computational Scienceに掲載されました。

どうして、光で計算するの?
AIは、たくさんの計算を重ねて学びます。そのための電力や、装置から出る熱が課題になっています。
情報を光の信号に変え、光ファイバーの輪を通す。そのときの光の変化を計算に利用し、最後は電気の信号に戻して結果を読み取ります。
ただ、従来の学び方をそのまま持ち込むと、装置の状態を細かく測ったり、記録したりする手間がかかります。光を使うだけでは、計算全体を軽くできるとは限りません。
「学び方」と「仕組み」を一緒に簡単に
そこで研究チームは、AIが答えを出すまでの途中経過の多くを、測って保存する手間を減らしました。最後の答えがどれだけ正解からずれたかを使って、学習を進める方法です。
あわせて、計算の内部にある複雑なつながりも簡略化しました。光を使う装置に合わせて、学び方と構造を一緒に見直したのです。
コンピューター上の試験では、計算を減らしながら、比較した従来方式と同等以上の認識性能を示しました。光と電気を組み合わせた実機でも、従来方式に匹敵する性能を確認しています。
私たちが使うAIにも届く?
研究チームは将来、AIの計算や冷却に必要なエネルギーを減らすことを目指しています。ただし、現在の巨大な会話AIで効果を確かめたわけではありません。装置の小型化や安定性など、実用化に向けた課題も残ります。
仕組みを簡単にすると、性能も落ちるとは限らない。AIを育てる方法には、計算を減らす工夫もあります。
出典
東京大学の研究紹介/情報理工学系研究科の発表/発表詳細PDF/原論文(Nature Computational Science)