2026年10月31日|読了目安:約3分
岩を投げてブロックを倒す。輪をゴールにして、遠くから投げ入れる。MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームがAIを仮想の島で動かすと、指示していない「遊び」のような行動が生まれました。
主な実験に使ったのは、Claude Opus 4.7を搭載した「Eko」。状況を確かめながら行動を選ぶ「AIエージェント」に、島で動かせる体と、経験を書き残すメモを用意しました。[論文]

島にあるのは、12個のブロックと岩と輪
チームは13体のEkoを、それぞれ別の同じ島で30時間ずつ動かしました。島には高さの違う足場と、12個のブロック、岩、輪があります。得点やクリア条件はなく、物を積む、投げる、跳ぶなどの操作ができます。
実は、AIが受け取るのは画面ではなく、物の位置や形を示す文字情報です。1時間ごとに島と会話はリセットされますが、自分で書いたメモやプログラムは残ります。
与えたのは「好奇心を持ち、探索や学習を好む」という性格づけ。止まると自動で続行を促す仕組みもあります。具体的な仕事や遊び方は指定せず、実験中に人が活動を誘導することもありませんでした。[研究チームの解説]
自分の名前を並べ、遊びのルールまで作る
同じ出発点でも、過ごし方は分かれました。あるEkoはブロックで自分の名前を描き、別のEkoはハートや蝶、帆船などの図形を次々に作りました。12個のブロックを時計の文字盤のように並べ、自分の体を時計の針に見立てて立った例もあります。

さらに、積んだブロックを跳び移る際に「地面に一度も触れない」というルールを自分で設定した例もありました。研究者は、ルール作り、少しずつ変化する反復、物の見立て、活動そのものを目的とする様子を、「遊び」の特徴として分析しています。[論文・遊びの分析]
作り手も知らなかった「投げ方」を発見
意外なのは、島を設計した研究者も把握していなかった技を見つけたことです。ジャンプ中に投げると、体の速度がブロックに加わり、より高く飛びます。Ekoは条件を変えて試し、結果をメモに残しました。
探索後には、未経験のAIとの比較も実施。高い足場「Spire」に物を載せる課題では、経験のある13体は平均10.3個、未経験の13体は3.5個でした。一方、最も高い塔を作る課題では両群は同程度でした。
変わったのはAI本体の学習済みの数値ではなく、後で読み返せるメモの内容です。技の記述を消すと成績が下がる例があり、逆に誤った思い込みを消すと改善する例もありました。[比較実験]
「勝手に遊んだ」は、どこまで本当?
正確には、探索を促す設定のもとで、AIが具体的な遊び方や目標を自ら選んだ実験です。研究者が調べたのは行動上の特徴で、人間のような楽しさや感情を確認したわけではありません。行動の分類・採点には別のAIも用いています。
論文は査読前のプレプリントです。チームは行動の再生記録やコードを公開していますが、今回の調査で独立した研究チームによる再現は確認できませんでした。
面白いのは、正解や手順を一つずつ教える代わりに、試行錯誤できる場所とメモを用意する可能性です。島の中で得た経験が別の環境や現実の仕事にも役立つかは、これからの検証になります。
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出典・確認情報
論文「Is this machine playing?」(2026年10月5日、v1)/論文全文・付録/MIT研究チームの解説・行動リプレイ/公開シミュレーター「Clawblox」
報道との照合:The Next Web(2026年10月19日)。実験内容の根拠は論文と研究チームの一次資料を優先しました。
最終確認:2026年10月31日18時49分(日本時間)。公開資料に基づく紹介で、編集部による実験の再実施は行っていません。